今回は、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の、「複雑なヒロイン」を描く日本アニメに関する特集記事から。今年6月に紙面にも掲載している記事なのですが、よほど反響が大きかったのか、今日になって、フェイスブックのトップページで改めて紹介しています。早速ですが以下が要点です。「映画における女性の描写をめぐる議論が広がっている昨今だが、 日本のトップアニメーターたちは長年にわたり、 アメリカのアニメーターたちよりも重層的で、 複雑な女性のヒーローたちを生み出してきた。 彼女たちには強さや才能だけではなく、 欠点や弱さ、怒りなども抱えているのだ。 例えば「竜とそばかすの姫」の主人公すずは、 亡くなった母親を偲ぶ一方で、 川で溺れていた名前も知らない子供を助けるために、 自分の命を犠牲にした母親に対して怒りも抱えている。 アメリカのヒーローの場合、いなくなった両親に対し、 思慕の念を覚える事はあるかもしれないが、 深く、複雑な感情は表現しない。 「君の名は。」の三葉は、いくつかのディズニー映画のような、 自分の王国を守るために冒険をするお姫様ではない。 家族や友人を致命的な脅威から救おうとする、怯えた少女だ。 知性と決断力で恐怖を克服し、何百人もの命を救おうとする。 他の女子高校生であっても、三葉と同じ事は出来る。 救世主となるためには、超能力は必要としないのだ。 複雑な女性ヒーローを求める傾向は、アニメでは目新しくはない。 「千と千尋の神隠し」の千尋は当初、 思春期特有の、足の細い不機嫌な少女であったが、 試練を経る事で強さと勇気と愛を開発し、 映画の終わりには、自信に満ち溢れ、 他人を思いやる事が出来る女性へと成長している。 高畑勲監督の「おもひでぽろぽろ」では 人生の岐路に立つ女性の姿が控えめに、感動的に描かれ、 今敏監督の「千年女優」では、自分自身で決断を重ねた、 自立した女性へと…
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