中国がレアアース磁石の輸出規制に踏み切るとの話で、今回の規制に関する重要な背景が読売新聞で報道された。 中国は今やレアアースの採掘のみならず、下流の製造まで全てを自国内で完結させる「グンゼ型」のサプライチェーン確立に動いている。グンゼは明治期創業の日本屈指の繊維メーカーだが、朝日新聞によれば昭和初期に米国製の安価なレーヨンが出回り生糸が売れなくなった際に「完成品まで作ってしまえばいい」と高品質な衣服の製造に着手、生き残ってきた経緯がある。 中国は下流の製造技術シェアまで全て押さえることで、素材のみならず技術面でも世界の中国依存度を高める目算のようだ。 日本は2010年にもあった中国のレアアース輸出規制を受けて、レアアース応用技術で作られた磁石が軍事転用される恐れもあるとして2012年にキャッチオール規制に磁石を追加。ところが中国は日本企業のもとに「応用技術をくれればレアアース供給を再開してもいい」と持ちかける。 その結果2014年頃に日本の磁石メーカーが中国に進出、合弁企業を設立して現地生産を開始した際に先端磁石製造装置を大量に持ち込み、その装置が現地中国企業にも出回った結果大量生産に踏み切られ技術も奪われた―――という実に愚かな出来事が起きていたようだ。 中国が今回輸出規制に踏み切った磁石の技術は、かつて日本が保有していたものであった。あたかも自国の技術かのように吹聴しているわけだ。 当然日本の技術だから日本企業も高性能磁石は製造しているものの、価格競争力の面で中国に負けるのは時間の問題とされている。シェアを落とし続ければJOLEDのような最悪の結末を迎えることにもなりかねない。 コメント欄では「中国がスパイ防止法で邦人を逮捕した場合、日本企業はあらゆる情報を出さないといけない」と中国のやり方に言及する人がいる一方、「技術の禁輸は無意味。むしろ中国のネオジム磁石を禁輸にす…
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