5月9日、ロシアは第二次世界大戦時のナチス・ドイツへの勝利を祝う「戦勝記念日」を迎えた。しかし、ロシアにとってこの日は悲惨な日となった。 恒例の軍事パレードは各地で中止され、兵器の損耗が深刻であるとの見方も浮上している。ウクライナでの戦争犯罪の容疑者として国際刑事裁判所から逮捕状が出されるなど、国際社会でもロシアの孤立感が深まっている。 プーチン大統領は首都モスクワで行われる式典で演説する予定だったが、自身に逮捕状が出されるなど、プーチン氏自身も不穏な状況にある。 露独立系メディア「ビョルストカ」によると、4月下旬から5月上旬にかけて、少なくとも21の都市でパレードの中止が決定されたと伝えられている。また、ロシア側はパレードがウクライナ侵略への抗議の場になることを恐れているとの見方もある。 ロシアの愛国心と一体感をはぐくむためには、地方でのパレードの開催が重要であり、プーチン氏が主導した行事であるだけに、政権にとって大きな痛手となった。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ナチス・ドイツが降伏した5月8日を「戦勝記念日」とし、ロシアと一線を画した。 ウクライナ戦線では、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が、さらなる作戦継続に必要な弾薬と武器の提供が約束されたと投稿していることも報じられている。しかし、ウクライナの本格反撃も近いとされ、プーチン氏は自身が旗を振った「特別軍事作戦」の戦果を強調しづらい状況にある。 中村逸郎名誉教授は、この日を「プーチン氏の国内外での求心力低下を象徴する日となるのではないか。国際的な孤立も深まり、サミットを控える西側諸国との対立はより鮮明になるかもしれない。これを境に、窮地に立たされたプーチン氏が戦術核の使用に踏み切る恐れもある」と懸念を示している。 ロシアにとってこの日が悲惨なものになった背景には、ウクライナ侵略を続けるロシアの行動が…このサイトの記事を見る
ロシア各都市で恒例のパレード中止 悲惨な状況が浮き彫りに
