沖縄南西諸島防衛に関して日本当局は全く準備ができていないとの報道があった。自衛隊は軍隊ではないという法的位置づけにより、根拠法や権限、責任の所在が決まっておらず、防衛出動を命じられた場合でも、各指揮官の権限と責任の明確化がなされていないとされている。 また、情報統制の面でも米軍に大きな遅れを取っており、情報共有や総合運用についてのシステムが未完成であることが指摘されている。 米下院軍事委員会の公聴会に出席した米インド太平洋軍のジョン・アキリーノ司令官は、台湾有事の可能性などについての質疑に応じ、「私は現在、この戦争を阻止する責任、そして抑止が失敗した場合には戦って勝利する責任を担っている」と語っている。 前編では、台湾有事を想定した米軍の再編の実状について詳しく見てきたが、後編では実際に事が起こった際に、米軍と自衛隊がどのような指揮系統で動くことができるのかを見ていく。 陸上自衛隊東北方面総監を務めた松村五郎元陸将は、「軍と軍の司令部間の協議では、自衛隊の考えを台湾防衛にあたっている米軍との共同作戦に反映することは困難だろう。国家として、統合幕僚監部が補佐する防衛相が、米政府と協議して初めて、日本の意向を共同作戦に盛り込むことが可能になるのではないだろうか。そのうえで、作戦の実施を担う統合司令官にどこまで権限を与えるのか、という問題が発生する」と語っている。 松村氏によれば、「どの地域で」「どの事案を」「いつから」任せ、「どの部隊を」指揮させるのかという議論は必要不可欠だという。 また、日本には軍法や軍法会議が存在しないため、自衛隊の指揮官たちは、自分たちの権限範囲を予め決めておくことが必要である。この範囲内で行動することになるが、死傷者が出た場合でも、指揮官の判断を尊重するという原則がある。 ただし、このような細かい権限範囲は、状況によって変わることがあり、交戦規定などで…このサイトの記事を見る
沖縄南西諸島防衛に関して「日本の自衛隊は全く準備ができていない」
