モスクワ映画祭で受賞辞退 「戦争命令が下される都市で受賞できない」

ブルガリア人映画監督のテオドル・ウシェフ氏が、第45回モスクワ国際映画祭で受賞を辞退する騒動が起こった。 ウシェフ氏のSF作品「φ(ファイ)1.618」は審査員特別賞に選ばれたが、受賞にあたってビデオ演説を行い、ロシアのウクライナ侵攻に抗議したためだ。 ウシェフ氏は、「子供、女性、高齢者を殺す命令が下される都市で受賞することはできない」と主張し、ロシア政府に対して非難を浴びせた。 作品は、現代のロシアが投影する全体主義世界とディストピア(反理想郷)について考えることを目的としており、最高賞を競うコンペティション部門に入った。 ウシェフ氏はモスクワ入りはしなかったが、記者会見やビデオメッセージを通じて、ロシアの外国文化排除やプーチン大統領を糾弾する発言を行っていた。27日の閉幕式でのビデオ演説では、受賞を辞退することを表明し、「戦争ではなく映画を作ろう」と訴えた。 受賞トロフィーは、映画祭責任者で政権寄りの巨匠ニキータ・ミハルコフ氏に預けられた。 なお、閉幕式のホールには公式メディアの国営テレビなどしか入れず、その他の報道陣は原則排除されていた。ウシェフ氏の反戦スピーチは本人のフェイスブックに掲載され、ロシアでは独立系メディアが報じた。 コメント欄では以下のような意見があった。 ・ロシアによるウクライナ侵攻に対し、日本の映画関係者がモスクワ映画祭に参加して喜んでいることに疑問を呈し、辞退する選択肢はなかったの。 ・文化と戦争は違うが、過去のアフガン侵攻時にモスクワオリンピックをボイコットしたように、現在のウクライナ侵攻に対しても批判的な姿勢を示すべきだ。受賞辞退は抗議の手段としては効果的だが、出品しない・参加しないという選択肢もあったのではないか。 ・辞退したことばかりが賞賛されているが、出品・受賞を辞退するのは監督個人の判断ではなく、複数の関係者の協議が必要だ。 ・受賞して…

このサイトの記事を見る

タイトルとURLをコピーしました