文春オンライン 家族や虐殺の犠牲者たちの痛み苦しみに、時に無頓着だった? 誤解されているガンジーの“非暴力” 『ガンディーの真実 非暴力思想とは何か』(間永次郎 著)ちくま新書 本書のタイトルが意味するものは、ガンディーの人生の真実とは何だったのか、というのとは少し違う。そうした側面がないのではもちろんない。最…... 2023.10.29 文春オンライン
文春オンライン “商店街のライバル”のイメージは古い? 人々がショッピングモールに「懐かしさ」を感じるようになったワケ 『モールの想像力 ショッピングモールはユートピアか』(大山顕 監修・編)本の雑誌社 先日、全国のシャッター商店街をランキング形式で紹介した「水曜日のダウンタウン」が社会派だったと評判になっていた。かつて…... 2023.10.23 文春オンライン
文春オンライン 「一緒に渋谷を歩き回っただけなのに…」新興宗教団体が起こした毒ガス散布事件…実行犯にされてしまった女性の“逃亡生活” 『ヒロイン』(桜木紫乃 著)毎日新聞出版 夜遅くのチョコレートケーキ、2杯目のご飯。食べた分だけ容赦なく、レオタード姿に現れた10代を思い出した。3歳から始めたクラシックバレエを、14歳の時には「バレエ…... 2023.10.22 文春オンライン
文春オンライン 手紙は検閲され、電話も盗聴される…原爆開発のために集められた500人以上の科学者と家族の“アンバランスな日常” 『新古事記』(村田喜代子 著)講談社“原爆開発の父”の生涯を描いたアメリカ映画『オッペンハイマー』。伝記映画では過去最高の興行成績をあげた話題作だが、いろいろあって日本での公開が決まらない。不満に思う方…... 2023.10.16 文春オンライン
文春オンライン 「終身刑か死刑かの分かれ道になったことも…」時には人の命すら奪う? セミコロンの“曖昧さ”が与えるもの 『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』(セシリア・ワトソン 著/萩澤大輝・倉林秀男 訳)左右社 セミコロン。句読点の一種だが、日本語にはないこともあり、文中に登場するとなんとなく落ち着…... 2023.10.15 文春オンライン
文春オンライン 100年前、電気自動車はたくさん走っていた…どうして姿を消したのか? 鍵を握るのは「男らしく、女らしく」という固定観念 『これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話: イノベーションとジェンダー』(カトリーン・キラス゠マルサル 著/山本真麻 訳) 秋の行楽シーズン、インバウンドの客も戻ってきて、観光地や繁華街ではゴ…... 2023.10.09 文春オンライン
文春オンライン 教義によって青年に「与え」られ…宗教異端者である少女の“残虐な経験”は、現実の恋愛によく似ている? 『奇病庭園』(川野芽生 著)文藝春秋 言葉が立ち上げる幻想――歌人にして小説家である著者による最新作は、一見して絢爛たる御伽の世界のようであった。 頭部から角が生え、あるいは鉤爪が、蹄が、全身を覆う鱗が…... 2023.10.08 文春オンライン
文春オンライン まるで「多重人格」…性格も出自も全く自分と異なる“別の人物”になる、ポルトガル詩人の特殊な著述方法 『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』(澤田直 著)集英社 心の中で誰かになりきることでしか現れてこない自分というのがおそらく誰の内にもあって、たとえば私は剣道をかつてしていたのだが、当時の全日本…... 2023.10.02 文春オンライン
文春オンライン 「夫とのセックスがうまくいかないワケ」「芸者時代の人に言えない過去」…安心して性の話ができる、“奥様と私”の新しい関係 『襷がけの二人』(嶋津輝 著)文藝春秋 戦前は良家の妻だったがわけあって離婚、寮母などをして食いつないできた千代が、視覚障害がある三味線の師匠、初衣(はつえ)の家を訪ねるところから物語は始まる。実は2人…... 2023.10.02 文春オンライン
文春オンライン 新朝ドラヒロインのモデルになった…「ブギの女王」がコンビの相方からかけられた“胸が締めつけられる発言”とは 『昭和ブギウギ 笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』(輪島裕介 著)NHK出版新書 優れた研究書は専門的な議論を読むさなかに、心が揺さぶられる瞬間がある。本書は10月スタートの朝ドラ『ブギウギ』の関連本で…... 2023.09.25 文春オンライン
文春オンライン 2万9800円で購入したコンピュータで…プログラミングに夢中になった大学生とエストニアの少年が繋がった 『ラウリ・クースクを探して』(宮内悠介 著)朝日新聞出版 主人公は、ソ連時代のバルト三国エストニアに生まれたラウリ・クースク。彼の伝記を書くために取材している「わたし」の視点で綴られる物語だ。 ラウリは…... 2023.09.24 文春オンライン
文春オンライン イラクの湿地帯に自分の舟を置きっぱなしに…いつも読者を「困惑」させるノンフィクション作家が「またやった」! 『イラク水滸伝』(高野秀行 著)文藝春秋「イラクの湿地帯に自分の舟を置きっぱなしなんだよね」 トークイベントで共演した高野秀行さんが楽屋で何気なく話してくれたのは2019年の秋のことだった。この後に「巨…... 2023.09.18 文春オンライン
文春オンライン 男の両耳にはなぜか棒が刺さっていた…犯人が死体に装飾した理由は? 「化け者」探偵が探る怪事件の真相 『化け者手本』(蝉谷めぐ実 著)KADOKAWA 時は文政年間、江戸の芝居町。「仮名手本忠臣蔵」の芝居が終わり誰もいなくなった中村座の枡席で、男の死体が発見された。首の骨を折られ、なぜか両耳に棒が刺さっ…... 2023.09.17 文春オンライン
文春オンライン タピオカ屋の隣に数百年前の歴史を伝える史跡が…京都という街に感じる「過去に意図せず触れる」面白さ 三宅香帆が『八月の御所グラウンド』(万城目学 著)文藝春秋 人生で京都に住んだ年数を数えるともう10年近くになるのだが、京都を歩くといまだにその時空の歪みっぷりにくらくらする。時流に乗って数年前にできた…... 2023.09.11 文春オンライン
文春オンライン 「誰が何のために作成したのか」財務大臣が断頭されるフェイク映像が出回った…白熱する政治的駆け引きの行く末は 『滅ぼす』上下(ミシェル・ウエルベック 著/野崎歓・齋藤可津子・木内尭 訳)河出書房新社 本国フランスのみならず、日本をはじめ世界中にファンを持つウエルベックはこれまで、宗教なき現代世界で不死・不老はあ…... 2023.09.10 文春オンライン
文春オンライン 「ワイ」語りをしていた清原和博は、実は引退後「僕」を使っている…「僕」という自称詞をめぐる歴史 『自称詞〈僕〉の歴史』(友田健太郎 著)河出新書 わたしの通っていた佐賀県の公立小学校で、男子生徒が使っていた自称詞は、圧倒的に〈おれ〉だった。転校生など数少ない〈僕〉派は、「つやつけんな(格好つけるな…... 2023.09.04 文春オンライン
文春オンライン 「死傷者が出ることは想定していなかった」よき未来のためだった…建物に放火した若者たちの想いとは 『未来散歩練習』(パク・ソルメ 著/斎藤真理子 訳)白水社「来てほしい未来を思い描き、手を触れるためには、どんな時間を反復すべきなのか」。『未来散歩練習』は、作家である「私」とスミという2人の女性を中心…... 2023.09.03 文春オンライン
文春オンライン 「私とよく似ている」信仰を持つ両親のもとで育ち、打ちのめされ続けた…戸田真琴が自分の少女時代を思い出す 『はーばーらいと』(吉本ばなな 著)晶文社 この小説に出てくる極端で痛々しい女の子は、私とよく似ているのだろう。小さく穏やかだが、それでもしっかりと偏っている宗教団体に入信した両親を取り戻すために単身戦…... 2023.08.27 文春オンライン
文春オンライン 修学旅行を利用して叔父さんにこっそり会いに行く…旅を通して密になる、高校生男女7人の関係が持つ“かがやき” 『それは誠』(乗代雄介 著)文藝春秋 本書は第169回芥川賞候補となった乗代雄介の中編小説。惜しくも受賞は逃したが、青春小説の新たな傑作と呼んでいいだろう。読み終わったあとはなんだか胸がじんじんして、と…... 2023.08.26 文春オンライン
文春オンライン 妖怪業界に冷遇されている…「あ、わたしもそうだ!」荒俣宏が著者に聞きたい、南方熊楠についての“重大疑問”とは 『未完の天才 南方熊楠』(志村真幸 著)講談社現代新書 こんどの熊楠の本は新書判だ。重力があって、しかも中心がない人物を、軽気球に乗せて体重を量るかのような、とんでもなく勇敢な挑戦だと思った。著者が『熊…... 2023.08.19 文春オンライン
文春オンライン 「表情がずいぶんと柔らかくなった」脳腫瘍を患い、死の淵を乗り越えて…かつての同僚が到達した“境地” 『いまだ人生を語らず』(四方田犬彦 著)白水社 私事で恐縮ながら、本書の著者、四方田犬彦とは同じ大学の同僚だった。ただ学部が異なっていたため、定年のはるか前に大学を辞めたことは後になって知った。どうやら…... 2023.08.07 文春オンライン
文春オンライン 「17、8のお妾をこさえて、膝を枕にしたり」ある老議員の屋敷へも潜入…女性記者による“潜入取材ルポ” 『明治大正昭和 化け込み 婦人記者奮闘記』(平山亜佐子 著)左右社「潜入取材記者」という肩書がつくことが多い私だが、知らないことばかりだった。「化け込み」という言葉や、明治から昭和にかけ女性記者が、いろ…... 2023.07.31 文春オンライン
文春オンライン 日本の父親は「頑張りが足りない」のか? 本当に足りないのは…共働き世代の育児をする男性たちの“困難” 『ポストイクメンの男性育児 妊娠初期から始まる育業のススメ』(平野翔大 著)中公新書ラクレ 西松屋という子供服・育児用品メーカーのお店に行ったときのことだ。 若い父親が「キティちゃんの服がほしい」とねだ…... 2023.07.30 文春オンライン
文春オンライン 「自分のホームもよく見えた感じ」俳句に親しむ私が、“気になるお隣”である短歌を覗きにいって得た気づき 『俳句ミーツ短歌』(堀田季何 著)笠間書院 俳句に親しむ私にとって、短歌は気になるお隣だ。作ってみたくはあるけれど、いろいろ勝手が違いそう。俳句は季語が多くを語るが、季語がマストでない短歌だと何をどう詠…... 2023.07.24 文春オンライン
文春オンライン 「ママ」には「パパ」と別に「彼氏」がいて許せない、でも…14歳の少女に語りかける「ママ」のことばに込められた想いは 『腹を空かせた勇者ども』(金原ひとみ 著)河出書房新社 金原ひとみさんの新作『腹を空かせた勇者ども』は、4つの短篇の連作となっている。主人公は「レナ(玲奈)」、友だちは彼女のことを「レナレナ」と呼ぶ。「…... 2023.07.23 文春オンライン
文春オンライン 「デジタルの進化の果てにアナログに帰着する」著名な科学史家が見極める、アナログとデジタルの“本質” 『アナロジア AIの次に来るもの』(ジョージ・ダイソン 著/服部桂 監訳/橋本大也 訳)早川書房 著者は、現在はすべての事象がデジタルに収束しつつあるが、それを突き抜けるとアナログに回帰し、我々の生き方…... 2023.07.17 文春オンライン
文春オンライン 「有名企業には顔のいい社員ばかり」新卒採用業界に復讐したい…採用担当者の女性がひそかに行った会社への“報復”とは 『黄金比の縁』(石田夏穂 著)集英社 本作の主人公は、工場の設計を請け負う企業で新卒採用を担当しているが、過去に花形のプロセス部から左遷されたことを根にもち、会社への報復をこころみている。採用コストの高…... 2023.07.16 文春オンライン
文春オンライン 散歩中、動かなくなった飼い犬に水を持ってきてくれた女性…56歳のバツイチ中年男に訪れた“突然の出会い” 『ある犬の飼い主の一日』(サンダー・コラールト 著/長山さき 訳)新潮クレスト・ブックス 読み進めていくうちに、本書の主人公ヘンクへの思い入れが増していく。56歳、バツイチで一人暮らしのヘンクと自分には…... 2023.07.10 文春オンライン
文春オンライン 電飾ギラギラの落下傘を背負えるのはジュリーだけ…「僕は見世物」と語った、スター・沢田研二の“生真面目さ” 『ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒』(島﨑今日子 著)文藝春秋 「いつでも一緒に死んでもいい」。演出家・久世光彦、内田裕也、萩原健一が熱烈に求愛する相手。それが不世出のスーパースター“ジュリー…... 2023.07.09 文春オンライン
文春オンライン 現代の総合格闘技さながらの攻防、一人で多数を相手にすることも…謎の多い有名人・宮本武蔵を成長させた“決闘”の数々 『チャンバラ』(佐藤賢一 著)中央公論新社 まさにタイトル通りの、「チャンバラ」小説である。しかも、主人公は宮本武蔵。吉川英治『宮本武蔵』や井上雄彦『バガボンド』を引き合いに出すまでもなく、これまで幾度…... 2023.07.04 文春オンライン
文春オンライン 「天皇のため命を投げ出し、国に尽くさねばならない」日本はなぜ戦争を繰り返す国だったのか…大日本帝国を支えた“戦前”の神話 『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』(辻田真佐憲 著)講談社現代新書 昨年末、タレントのタモリが2023年について「新しい戦前」になるのではと発言して議論を呼んだ。将来の日本は「戦前」のように戦…... 2023.07.04 文春オンライン
文春オンライン 10年間ともに暮らしたパートナーと別れ、ひとまわり以上若いバイトの女性と一夜をともに…実体験に基づく小説の“誕生秘話” 狼の幸せ』(パオロ・コニェッティ 著/飯田亮介 訳)早川書房 著者コニェッティはミラノ生まれの都会っ子(といっても40代半ばだが)ながら、子どもの頃、家族の別荘がわりの山小屋を足場に、父に引っ張られる…... 2023.06.27 文春オンライン
文春オンライン 「女はどんなに優れていても男の陰の存在」教育を受けても「行き遅れの女」と罵られ…近代日本を生きた女たちの怒りと苦しみ 『近代おんな列伝』(石井妙子 著)文藝春秋 私の小説家デビューのきっかけとなった新人賞は「女による女のためのR-18文学賞」という。応募者も選考委員もすべて女性。今さら女だけが優遇される賞を続ける意味が…... 2023.06.27 文春オンライン
文春オンライン 「うちらは捨てられてる」先生が教室に現れず、授業を受けられない子どもが増加…教育現場で今起きている“非常事態” 『先生が足りない』(氏岡真弓 著)岩波書店 いま、小中学校で、非常事態が起きている。 担任、科目の担当教諭が教室に現れず、授業すら受けられない子どもたち。教頭や学年主任が急遽教壇に立つか、そうでなければ…... 2023.06.19 文春オンライン
文春オンライン 「信頼していた側近と最愛の弟を相次いで死なせてしまい…」鎌倉の北条氏を滅ぼした“極楽殿”足利尊氏の人生のナゾを解く 『極楽征夷大将軍』(垣根涼介 著)文藝春秋 私は垣根涼介さんの歴史小説の愛読者ではなく観察者だ。なぜなら、私にはいつか歴史小説を書いてみたいという野心があるから。東南アジアや南米を舞台にした冒険小説でデ…... 2023.06.18 文春オンライン
文春オンライン 「作者を監禁して書き換えさせようかと真剣に考えた」衝撃の顛末から14年…30代の“横道世之介”に会うことができる最新作 『永遠と横道世之介』(吉田修一 著)毎日新聞出版 私が横道世之介と出会ったのは2009年。世之介は私の2歳下だが同世代、なんだか遠い友だちのように感じていたので、大人になった世之介の顛末を読んだときには…... 2023.06.13 文春オンライン
文春オンライン 「大阪市の広さにティラノサウルスは2頭」人口密度ならぬ“ティラノサウルス密度”とは…第一人者が語るスター恐竜研究の最前線 『ティラノサウルス解体新書』(小林快次 著)講談社「大阪市の広さの面積に住んでいた、ティラノサウルスの数は2頭」 アメリカで発表されたある研究によると、白亜紀後期にティラノサウルスは常時2万頭ほど存在し…... 2023.06.12 文春オンライン
文春オンライン 中国史、中国語、領土までも…20世紀前半に「捏造」されていた? 仕事で“中国”に赴任する人は必読の近代史 『「中国」という捏造 歴史・民族・領土・領海はいかにして創り上げられたか』(ビル・ヘイトン 著/小谷まさ代 訳)草思社 ショッキングなタイトルである。各章の題名も「『中国』の捏造」、「『主権』の捏造」、…... 2023.06.05 文春オンライン
文春オンライン 木曾義仲を破り、源義経の奇襲に敗れて壇ノ浦に散った…平清盛「最愛の息子」が駆け抜けた平家滅亡までの5年間 『茜唄(上)』(今村翔吾 著)角川春樹事務所 人は唄い、語り継ぐ。平家一門の興亡を描いた『平家物語』は、琵琶の弾奏とともに語られて庶民に広がった。作者も成立年も定かでないが、時を超えて人々に愛されている…... 2023.06.04 文春オンライン
文春オンライン 移動するカメラは戦死した28歳の若き映画監督への「手の込んだ追悼」だった? 日中戦争が名監督・小津安二郎に与えた“大きな影響” 『小津安二郎』(平山周吉 著)新潮社 脚本執筆から撮影編集までの全過程で、尋常ならざるこだわりと周到さを見せたことで知られる映画監督・小津安二郎。その生誕120年、歿後60年にあたる今年、小津の名作「東…... 2023.05.31 文春オンライン
文春オンライン 「スマホゲームをプレイしてるときだけ安寧を得られる」歯科助手のアルバイトとして働く女性の“苦しみ”の正体 『内角のわたし』(伊藤朱里 著)双葉社 1日を終えて目を閉じる。だが頭の中にいろんな声が湧きあがってきてうまく眠れない。あのとき本当はこうすれば。こんなふうに言えたなら。自分のものであるはずの声は世間の…... 2023.05.29 文春オンライン
文春オンライン 7万7000年前の洞窟に、寝床に虫が集まるのを防ぐ仕掛けが…「天敵を自ら招いた」人間と有害生物の“戦いの記録” 『招かれた天敵 生物多様性が生んだ夢と罠』(千葉聡 著)みすず書房 タイトルが目を引く書物である。「ようこそ、いらっしゃいました」と言われるのが“招かれた”の意味だ。歓待の気持ちが入っている。天敵とは自…... 2023.05.23 文春オンライン
文春オンライン 「これはたまらない」アヘン栽培ビジネスを通じて日本人男性が上海の裏社会へ…追体験する“魔都”の魅力 『上海灯蛾』(上田早夕里 著)双葉社 極上の阿片(アヘン)が一人の女によって持ちこまれる。芳(かぐわ)しい香水のごとき体臭をまとう女は、熱河(ねっか)産の阿片と芥子(けし)の種を売りさばきたいと願う。話…... 2023.05.23 文春オンライン
文春オンライン 「光源氏はロリコン」「不倫は許せない」学生が『源氏物語』を読んだら…“現代ならでは”の古典文学の楽しみ方とは 『ミライの源氏物語』(山崎ナオコーラ 著)淡交社 世界の文学作品をみわたしても、『源氏物語』の完成度の高さと面白さは文学史上の最高峰にあることは疑いもない。ところが、日本の学校教育を受けた多くの人たちに…... 2023.05.16 文春オンライン
文春オンライン 「ゾウにりんごをあげたり、大天幕の裾を上げて舞台を見たり…」子ども時代の1年間をサーカスで過ごした作家の“原体験” 『サーカスの子』(稲泉連 著)講談社 稲泉連は不思議な人物である。1979年生まれで、右肩上がりだった日本の高度経済成長期を実際に生きたわけではなく、全国民が浮かれたバブル時代はほんの子どもだったにもか…... 2023.05.15 文春オンライン