春日太一の木曜邦画劇場

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スリの平平平平と刑事の奇妙な友情が見せる、喜劇と哀愁劇――春日太一の木曜邦画劇場

1969年(95分)/東宝/2750円(税込) 事前にタイトルやキャストの感じから想像した内容と、実際に観ての印象が大きく離れている映画は少なくない。 特に旧作邦画、ことに喜劇がそうだ。「さぞや楽しいコ…...
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クールでニヒル。ウィドマーク似のこの主人公は佐藤允だったのか!――春日太一の木曜邦画劇場

1962年(75分)/東宝/2750円(税込) 筆者が映画好きになったのは、両親の影響が大きい。 いずれも映画をよく観る人で、子どもの頃から映画館に連れていかれたり、一緒にレンタルビデオを観たりしている…...
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ジェリー藤尾ら囚人達の集団脱獄。欲に駆られた男達の狂気と虚しさ――春日太一の木曜邦画劇場

1961年(89分)/ハピネット/2750円(税込) 一九五〇年代から六〇年代初頭にかけて、映画界に狂い咲いた会社が新東宝だ。 その大きな特徴は、扱うジャンルの多彩さにある。時代劇、戦争映画、喜劇、怪談…...
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芦田伸介検事と丹波哲郎弁護士。審理するは佐分利信裁判長。圧巻。――春日太一の木曜邦画劇場

1978年(138分)/松竹/3080円(税込) そこに映し出されるだけで、スクリーン全体を支配するかのような圧力を放つ、役者たちの重厚感。これこそ、かつての日本映画を観る際の大きな楽しみで…...
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血気盛んな若手と諭すベテラン。刑事ものの原型がここにあった!――春日太一の木曜邦画劇場

1949年(122分)/東宝/5500円(税込/写真は4K リマスター Blu-ray版/4K リマスター 4K Ultra HD Blu-ray版、DVD版もあり) 名作映画にはキービジュアルといえる…...
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英国でリメイクされた不朽の名作。浮きあがる黒澤版の際立つ人物造形――春日太一の木曜邦画劇場

1952年(143分)/東宝/6600円(税込/写真は4K リマスター 4K Ultra HD Blu-ray版/DVD版Blu-ray版もあり) 今回は『生きる』を取り上げる。黒澤明が監督した、不朽の…...
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ニヒル対ニヒルの決着の地は広大で異様な砂礫原こそ相応しい――春日太一の木曜邦画劇場

1967年(87分)/KADOKAWA/1980円(税込) 拙著最新刊『時代劇聖地巡礼 関西ディープ編』(ミシマ社)では、関西各地の時代劇ロケ地を実際に巡って紹介&解説をしている。 中でも多くの頁を割い…...
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「宮本武蔵」五部作最後のロケ地は巌流島ではなく琵琶湖畔だった!――春日太一の木曜邦画劇場

1965年(121分)/東映/3080円(税込) 京都で時代劇が多く作られてきたのには、その地域性も大きい。市内には古くからの神社仏閣が数多くあり、情緒豊かな「江戸の景色」に事欠かないのだ。そのため、西…...
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剣戟王・阪妻が振るう悲壮美の剣。映画史に残る大立ち回りを見よ!――春日太一の木曜邦画劇場

1925年(79分)/阪東妻三郎プロダクション/Amazonプライムで活弁入り版を配信中 三月十七日、拙著最新刊『時代劇聖地巡礼 関西ディープ編』(ミシマ社)が書店店頭で先行発売される。 これは、琵琶湖…...
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民家の蔵で発見された幻の傑作。伊藤大輔監督が見せる悲劇の忠次!――春日太一の木曜邦画劇場

1927年(111分)/日活/4620円(税込/Blu-ray版) 少し前に述べたように、戦前、特にサイレント時代の映画はフィルムが残っているだけでも奇跡といえる。しかも、それが満足な上映に耐えうる状態…...
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武藤敬司がトップレスラーになる片鱗はすでに本作で放たれていた!――春日太一の木曜邦画劇場

1987年(118分)/KADOKAWA/7480円(税込/Blu-ray版) プロレスラーの武藤敬司が引退した。プロレスを最も熱心に観ていた一九九〇年代、頂点に君臨していた選手だった。その華やかさと技…...
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小林昭二演じる寡黙な人力車夫。画面から奥底の感情が浮かび上がる!――春日太一の木曜邦画劇場

1979年(139分)/東宝/5170円(税込/Blu‐ray版) 今回は『病院坂の首縊りの家』を取り上げる。長い歳月にわたる女性たちにまつわる血ぬられた惨劇に、名探偵・金田一耕助が挑む作品である。 以…...
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靴音が奏でる刑事たちの心情。音楽皆無の演出が冴え渡る!――春日太一の木曜邦画劇場

1965年(87分)/ディメンション/4180円(税込) あまり日の当たらない旧作邦画を積極的にDVD化してきたレーベル「DIG」が、昨年末に休止となった。 そこで今回は、同レーベルから出ている一本『七…...
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襖絵や壁、役者の表情の彩りまでリマスター職人が見事、復元させた!――春日太一の木曜邦画劇場

1977年(141分)/東宝/5170円(税込)「デジタル・リマスター」というと、なんとなく「パソコンでちゃちゃっと」できそうなイメージでいる人も少なくないかもしれない。 だが、実際にはフィルムを入念に…...
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4K復元で「名作」の説得力も復活。若き原節子の際立つ可憐さは圧巻!――春日太一の木曜邦画劇場

1936年(82分)/日活/4620円(税込/Blu-ray版) 今回は『河内山宗俊』を取り上げる。前回に引き続き、中国の戦地で二十八歳の若さで亡くなった天才・山中貞雄監督による傑作時代劇だ。 戦前の映…...
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4K復元で甦る山中貞雄の丹下左膳。人情味が豊かな左膳も面白い!――春日太一の木曜邦画劇場

1935年(92分)/日活/4620円(税込/Blu-ray版) 今回は『丹下左膳餘話 百萬両の壺』を取り上げる。 山中貞雄監督は生前からその才能を高く評価されたが、わずか二十八歳の若さで中国の戦地で没…...
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仲代に平、井川に天本……俳優座の「顔」で埋め尽くされている!――春日太一の木曜邦画劇場

1966年(91分)/松竹/4180円(税込) 戦後の日本映画史において、重要な役割を果たしたのが劇団俳優座だ。当時、各劇団は舞台だけでは満足な収益を挙げられないのもあり、所属俳優たちが積極的に映画出演…...
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アウトロー女性の闘いを描く、五社英雄監督のアクション時代劇――春日太一の木曜邦画劇場

1986年(116分)/松竹4180円(税込) 五社英雄監督のキャリアは大まかに二分できる。 前期はフジテレビに所属していた一九七〇年代までで、後期はフリーになった八〇年代以降。前期は主に時代劇を中心に…...
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年末年始は東宝が五社英雄を招き満を持して放った大作ヤクザ映画で!――春日太一の木曜邦画劇場

1971年(131分)/東宝/4180円(税込) 二〇二二年は、DVD化を待ち焦がれていた旧作邦画のタイトルが、各レーベルから次々と発売された。この年の瀬は、そんな一年を締めくくるにふさわしいラインナッ…...
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柳生忍者が砦を突破するさまはノルマンディー上陸作戦のようだ!――春日太一の木曜邦画劇場

 この時代劇は面白い――! そう、さまざまな場で推していながら、実はあまり観る機会に恵まれない作品がある。 今回取り上げる『柳生武芸帳 片目の忍者』は、その最たるものだ。1963年(86分)/デ東映/U…...
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薄汚れた競輪場を舞台にした、欲望がぶつかり合う破滅の物語――春日太一の木曜邦画劇場

1964年(84分)/ディメンション/4180円(税込) 本連載ではお馴染み、珍しい旧作映画を掘り起こしてDVD化するレーベル「DIG」は現在、日活のレア作品を断続的に出している。 そうした中、また気に…...
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破傷風に罹った少女と見守る両親。薄暗い病室のさまは恐怖ですらある――春日太一の木曜邦画劇場

1980年(114分)/松竹/3080円(税込) 一九五〇年代から六〇年代の量産時代に活躍した監督たちに共通することではあるが――野村芳太郎ほど多岐にわたるジャンルを手掛けた人はいないのではないだろうか…...
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殺人容疑がかかる前科四犯の女を弁護する、岩下志麻の貫禄が凄い――春日太一の木曜邦画劇場

1982年(127分)/松竹/3080円(税込) この数年、ネット上に事実無根のデマや誹謗中傷を書かれてきた。いつまでも泣き寝入りしていては仕事に支障をきたす危険性もあるので、今年になって司法の力を借り…...
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アイヌの姉弟の毅然とした姿を橋本忍×成瀬巳喜男で見せる――春日太一の木曜邦画劇場

1959年(126分)/東宝/2750円(税込) 前回も述べたように、橋本忍が脚本を書いた作品の多くには「主人公が現状を打破せんと奮闘すればするほど状況が悪化する」という特徴がある。今回取り上げる『コタ…...
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容赦のない理不尽な結末。まさに橋本忍脚本の真骨頂だ!――春日太一の木曜邦画劇場

1965年(122分)/東宝/2750円(税込) 十年がかりのプロジェクトとなる、脚本家・橋本忍の評伝を書いている最中だ。 橋本脚本の作品の多くには、共通する特徴がある。それは、主人公が状況を打破せんと…...
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三橋達也の柔らかなダンディさが和製007を見事に仕立てている!――春日太一の木曜邦画劇場

1965年(93分)/東宝/2750円(税込) 前回の『地獄の饗宴(うたげ)』に主演した三橋達也の存在を初めて知ったのは、小学生の頃だった。テレビ朝日の「土曜ワイド劇場」枠で放送されていた「西村京太郎ト…...
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三橋vs団令子。悪対悪の関係を効果的に見せた配役の妙!――春日太一の木曜邦画劇場

1961年(94分)/東宝/2750円(税込) かつての日本映画は、俳優ごとにイメージが固定されていて、それに沿った役柄でキャスティングされることが多かった。たとえば、小沢栄太郎なら「憎々しい権力者」、…...
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団地の一室で張り込む二人の刑事。ベテランが放つ仕草と人生訓は見事!――春日太一の木曜邦画劇場

1962年(71分)/ディメンション/4180円(税込) 戦後の日活映画といえば、無国籍アクションや青春映画のイメージが強い。が、その一方で、地味な小作品ながらも切れ味の良いサスペンス映画も、多く作られ…...
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山岳遭難、ホラー、ラブコメ? 喜八組が惑わす迷宮的スリル――春日太一の木曜邦画劇場

1960年(94分)/東宝/2750円(税込) 一九七七年生まれの身からすると、たいていの旧作邦画は「生まれる前の作品」になる。そのため、大なり小なりの情報が入った上で「これはこんな映画なんだろうな――…...
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毒の強い内容とクセの強い俳優陣。児童映画を舐めてはいけない――春日太一の木曜邦画劇場

1977年(74分)/ディメンション/4180円(税込) 旧作邦画には、意外と油断ならないジャンルがある。その一つが児童映画だ。基本的には学校などの公共施設の鑑賞会での上映を想定した、児童の道徳教育用の…...
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犯罪を憎む鬼刑事が迫られる時効直前の選択。罰か人情か!――春日太一の木曜邦画劇場

1962年(90分)/ディメンション/4180円(税込) 旧作邦画の魅力として、題名がシンプルであることが挙げられる。端的な言葉の向こうにさまざまなドラマを想像することができるのだ。 今回取り上げる『人…...
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殺伐とした暗殺者の物語を詩的でロマンチックに見せる――春日太一の木曜邦画劇場

1972年(94分)/東宝/2750円(税込) 前回の『死ぬにはまだ早い』など、西村潔監督の作品は何度も本連載で扱ってきた。 その際、西村監督を「ハードボイルドの名手」という言い方をしてきたが、その志向…...
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夜のドライブインの群像劇。小粒だが完璧な娯楽作だ!――春日太一の木曜邦画劇場

1969年(82分)/東宝/2750円(税込) 近年の韓国映画を観ていて、羨ましく思うことがある。 それは、大きく構えた作りでなくとも、ピリッとアイデアが効いていて、しかもアクションやサスペンスの面白さ…...
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五社英雄没後30年。前期作品のアクション時代劇の集大成を見よ!――春日太一の木曜邦画劇場

1969年(123分)/フジテレビジョン/4180円(税込/写真はBD版5170円) 五社英雄は、この八月末で没後三十年を迎えた。 それに合わせて、これまでDVD化されていなかった映画が次々と発売、前回…...
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勝新、仲代、裕次郎、三島由紀夫。脚本橋本、監督五社。一切の隙なし――春日太一の木曜邦画劇場

1969年(139分)/フジテレビジョン/4180円(税込/写真はBD版5170円) ついに、本連載も今回で五百回目を迎えることになった。おかげさまで、丸十年だ。 そんな最高のタイミングで、最高の作品が…...
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2・26事件将校のラブストーリー? いや、ラストの高倉健に驚愕した!――春日太一の木曜邦画劇場

1980年(150分)/東映/3080円(税込) 新刊『文藝別冊 高倉健』(河出書房新社)の製作のため、高倉健のフィルモグラフィーを追いかけて改めてよく分かったのは、一九七五年までの東映専属時代と、以降…...
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殺気、怒気、侠気を伝える芝居。それが唯一無二の名優、高倉健だ!――春日太一の木曜邦画劇場

1969年(142分)/東映/3080円(税込) 新刊『文藝別冊 高倉健』(河出書房新社)では、関係者二十八名にインタビューした他、俳優としての高倉健の魅力について、計約四万字をかけて多角的に検証した論…...
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ぎこちない動き、上ずった声。「健さん」以前の、青き高倉健!――春日太一の木曜邦画劇場

1960年(89分)/東映/Amazonプライムでレンタル可能 筆者が責任編集を務めたムック本『文藝別冊 高倉健』(河出書房新社)が来たる、八月十六日に発売になる。 クレジットは「責任編集」なのだが、座…...
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ことごとく妖しいキャラたち。西村潔のハードボイルドを堪能せよ!――春日太一の木曜邦画劇場

1970年(89分)/東宝/2750円(税込) いったい、映画ソフト業界に何が起きているのか――。 本連載で何度も書いてきたが改めてそう問いたくなるほど、各メーカー・レーベルともに旧作邦画のDVD化がこ…...
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任侠と怪談、前衛とコメディ。石井輝男監督の恐ろしきカオス!――春日太一の木曜邦画劇場

1970年(85分)/日活/1980円(税込) 夏といえば、怪談だ。日本映画でも、古くから怪談を題材にした作品は、この時期に多く作られてきた。 何らかのエゴや傲慢さを抱えた人物が、その欲望のために善意の…...
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暑い!暑い!こんな暑さの中、無軌道な川地民夫には要注意!――春日太一の木曜邦画劇場

1960年(76分)/ディメンション/4180円(税込) 前回述べた『宮本武蔵 般若坂の決斗』の決戦シーンが撮影されたロケ地には、無事にたどり着くことができた。 遠景シーンとほぼ同じアングルを見つけた時…...
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のどかなあの草原が僧兵と野武士、そして武蔵決闘の聖地なのだ!――春日太一の木曜邦画劇場

1962年(107分)/東映/3080円(税込) 時代劇のロケ地になった場所を実際に巡り、写真と解説文とで紹介した『時代劇聖地巡礼』(ミシマ社)の続編が刊行されることになり、ただいま取材の真っ盛りだ。 …...
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公開中の映画『ガンダム』の殺陣に『昭和残侠伝』の高倉健を見た!――春日太一の木曜邦画劇場

1966年(90分)/東映/3080円(税込) アニメ映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が公開中だ。この作品、チャンバラとしてかなり楽しめる。 モビルスーツ同士の激闘が終盤に展開されるのだが…...
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若いふたりの「許されざる恋」。近松門左衛門が描いた元禄悲劇!――春日太一の木曜邦画劇場

1959年(105分)/東映/3080円(税込) 時代劇の大きな魅力といえばチャンバラだが、それ以外に、もう一つある。 それは「許されざる恋」。現代とは異なり厳然たる身分差のあった江戸時代。身分違いの恋…...
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大ヒット中の『トップガン』に見劣りしない東宝作品がある!――春日太一の木曜邦画劇場

1964年(103分)/東宝/2750円(税込) アメリカ軍におけるパイロット候補生たちの訓練と活躍の様を描いた『トップガン』の続編、『トップガン マーヴェリック』が大ヒット中だ。 筆者にとって一作目は…...
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