日本の国土の7割にあたる森林のうち、その約4割が、”伐って植えて育てる”を人の手で行う、林業生産のための森林(主にスギ・ヒノキなど針葉樹)です。人が育てる森林、「育成林」は全国に広がっていますが、1,020万ヘクタールに及ぶこの「育成林」は全国でどのような風景を作っていて、人々にとってどんな存在なのでしょうか?「育成林」はよく「人工林」とも言われますが、木材が人の手で「生産」されてるとはいえ、そこには自然の力が働いています。樹木の間に風が吹き、水が流れ、多様な生き物が棲み、それぞれの土地で人々の暮らしの営みとともに、数十年以上をかけてつくられていく森林景観を私たちはどう捉えたら良いのか。その問いに向き合おうとするシンポジウムが開催されると聞き、以前より本研究会に参加を重ねてきた、嵯峨創平さん(私の森.jp編集部員)によるレポートをお届けします。2023年9月1日に、奈良文化財研究所 景観研究室が主催する「文化的景観研究集会」が開催されました。開催期間:令和5年9月1日(金)13:00〜17:20開催場所:奈良文化財研究所 大会議室(オンライン配信あり)主催 :奈良文化財研究所 文化遺産部 景観研究室【趣旨説明・報告】惠谷 浩子(奈良文化財研究所)「育成林は重要文化的景観として評価できるのか」【講演1】大住 克博(鳥取大学名誉教授/林学・森林生態学)「林業景観の成立過程」【講演2】小椋 純一(京都精華大学名誉教授/景観史・植生史)「里山景観の変遷」【総合討論】大住克博先生、小椋純一先生に加え、菊地成朋先生(九州大学名誉教授/建築計画学)、小浦久子先生(神戸芸術工科大学教授/都市計画学)/惠谷浩子氏(コーディネーター)今回で11回目となる同研究会は、文化財保護法により選定された「重要文化的景観」の自治体担当者や、景観を構成する歴史・考古をはじめ都市景観・自然環境などの研究者が…
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