文春オンライン 窓辺の女性は誰? 左手が見えないのは「結婚指輪がないことを伏せたかったからでは」家族の団らん場面に読み解く“含み” もしこの絵が1870年のサロン(官展)に入選していたら、美術史は変わっていたかもしれない――。本作を所蔵するシュテーデル美術館は作品解説にそう書いています。モネというと「睡蓮」シリーズに見られるように…... 2024.05.01 文春オンライン
文春オンライン 「イヴ・サンローランのロゴをデザインした」デザイナーによる、豪華客船のポスターが“広告として”優れているワケ これは「浮かぶヴェルサイユ」と称された豪華客船ノルマンディー号のポスターです。この船はフランスのル・アーブルとアメリカのニューヨークを結んで航行し、全長312メートルと当時の世界最大のサイズで、内装は…... 2024.04.10 文春オンライン
文春オンライン 「当時から指摘されていた」葛飾北斎の“あの絵”に影響された可能性も…アメリカ人の心に訴えた“冬の海辺”の絵 ウィンスロー・ホーマー(1836―1910)は日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、19世紀アメリカを代表する画家の1人。なかでも海を描いた作品群がアメリカ人の心に訴えました。また、彼の画風は印…... 2024.03.20 文春オンライン
文春オンライン 「ちょっと艶めかしすぎる」屋外で全裸の若者…本当は誰を描いた絵なのか? ドキッとさせられる絵です。若者が屋外で全裸。しかも、体をひねって鑑賞者へと親しげな笑みを投げかけています。タイトルの「洗礼者聖ヨハネ」から、キリストに洗礼を施した人物のようですが、それにしてはちょっと…... 2024.02.28 文春オンライン
文春オンライン 「違法行為なのでたびたび捕まりました」それでもキース・へリングが、“地下鉄駅構内”に絵を描いていた理由 キース・へリング(1958―1990)の絵をどこかで目にしたことがある人はきっと多いはず。そんな風に誰もが彼の作品を気軽に楽しめる状態こそ、へリングが望んだことだったと思われます。 へリングは80年か…... 2024.02.07 文春オンライン
文春オンライン パリで踊るカップルと、日本の農村で暮らす年配の男性2人…写真2枚の“不思議な共通点”のワケ ロベール・ドアノー(1912-1994)はパリとパリ郊外の人々を撮り続けた写真家です。「パリ市庁舎前のキス」という有名な作品を通じてその名を知る人も多いでしょう。しかし、ドアノーの写真にはこのようにお…... 2024.01.17 文春オンライン
文春オンライン 「トナカイのソリに乗り、煙突からやってくる」サンタのイメージはここから…大学教授が自分の子どものために書いた物語詩 にぎやかな飾りつけの下、子供たちがベッドでぐっすりと眠っています。これは『クリスマスの前の晩』という絵本の挿絵のうちの一枚。本文には“THE children were nes-tled all sn…... 2023.12.20 文春オンライン
文春オンライン ハマグリの中にいた「最初の人間」たちを誘い出したのは…カナダの先住民が描く神話のトリックスター この絵は、何を描いているのでしょう。実はこれ、ワタリガラスによる人類発見の場面を描いています。カナダ北西海岸先住民の一民族であるハイダ民族の神話に基づくのですが、そもそもカナダ北西海岸先住民について聞…... 2023.11.28 文春オンライン
文春オンライン 「分解されていても分かるはず」ピカソとは違う明るい色使いで…キュビズムを用いて描かれた、“3人の女神たち” ピカソとブラックが1907年頃から始めたキュビスムという美術運動は、20世紀初頭の画家たちに大きな影響を与えました。それは絵画の新しい文法のようなもので、対象を幾何学的な立体図形に簡略化して分解し、複…... 2023.11.08 文春オンライン
文春オンライン 二度の胸の手術、夫の女性問題の露呈…「紅葉した1枚の葉っぱ」は女性画家の“苦しみ”を予感していたのか? ジョージア・オキーフ(1887-1986)は20世紀アメリカを代表する画家。彼女は画業のみならず、夫で写真家のA・スティーグリッツの被写体として、またニューメキシコに造った日干しレンガ(アドビ)の家で…... 2023.10.18 文春オンライン
文春オンライン 「ぜひカラーで確認してほしい」4色に塗られたこの作品、どう見えますか? 色の見え方の流動性に注目 シンプルな幾何学的図形だけの構成で、いくつもの錯視効果をもたらす面白い作品です。描いたのはジョセフ・アルバース(1888―1976)というオプ・アートの先駆者。オプ・アートとは、さまざまな錯視を生かし…... 2023.09.27 文春オンライン
文春オンライン 「元彼に何10箇所も刺されて…」「結婚生活は破綻」結婚祝いに描かれた肖像画が予兆する、デザイナー夫妻の“その後” 現代イギリスを代表する画家デイヴィッド・ホックニー(1937-)の、間違いなく最も有名な作品です。画家の友人であるクラーク夫妻の結婚祝いとして描かれました。ファッション・デザイナーの夫オジーとテキスタ…... 2023.09.06 文春オンライン
文春オンライン 色の数は「20色」何色見分けられる? シンプルな模様の反復がチカチカして見えるワケ ブリジット・ライリー(1931~)は、1960年代から活躍しているイギリスで最も重要な抽象画家。オプティカル・アートという錯視を活用した表現で知られますが、同時代に流行していたポップ・アートに合わせ、…... 2023.08.09 文春オンライン
文春オンライン 「見比べてください」雨後の路上を写した1枚のカラー写真…白黒にすると消えてしまう“あるモノ”とは ソール・ライター(1923-2013)は、60年代から80年代にかけて、雑誌「ハーパーズ・バザー」などのファッション写真を手掛けていましたが、同時にプライベートでも沢山のストリートスナップを撮っていま…... 2023.07.19 文春オンライン
文春オンライン 中央の女性は後に「3番目の妻」となる人…自宅で開いたパーティを描いたと見られる“裸婦群像画” 藤田嗣治といえば、乳白色の下地に黒い極細線で描いた裸婦画が有名ですが、実はそのような作品群はほぼ1920年代に集中しています。「舞踏会の前」はまさにその時代に描かれた、裸婦群像画の大作。藤田のお気に入…... 2023.06.28 文春オンライン
文春オンライン 観音開きの窓の外は「ほぼ真っ黒」…第一次世界大戦の開始直後に描かれた絵が“研究者やファンを引き付ける”ワケ アンリ・マティス(1869~1954)は20世紀前半を代表する画家として、ピカソと対のように並び称されてきました。同時代・後世の画家にも大きな影響を与えています。面白いところではミッフィーでお馴染みの…... 2023.06.07 文春オンライン
文春オンライン 夫の弟と恋に落ち、夫に殺され地獄堕ち…人々の心に強く訴えた“悲恋”を感じるふたりの姿 暗い背景に白く浮かび上がる男女は、ある文学作品に登場する有名な恋人同士の亡霊です。その文学作品とは、13~14世紀に活躍したイタリアの詩人ダンテの『神曲』。描いたのはフランスで活躍したオランダ出身のシ…... 2023.05.17 文春オンライン
文春オンライン 恋のキューピッドが人間のお姫様に恋をした…画家が描いたのはどんな場面? 「最初のキス」か「キスで起こす」か 牧歌的な風景に若いカップルの睦まじい姿を描いた本作は、ギリシア神話がベースになっています。作者はフランスの第一帝政期・王政復古期を通して活躍したフランソワ・ジェラール(1770~1837)。プシュケの…... 2023.04.19 文春オンライン
文春オンライン 奥の部屋では一体何が? 脱ぎ捨てられた部屋履き、めくられた本…覗き見の欲求をくすぐる“意味深”な絵の秘密 とりたてて目立つものもなく、ただ空間のみが描かれている本作。でもこの絵を前にすると、きっとじっと眺めてしまうはず。なぜならこの絵には、視線を掴む構図上の工夫がいくつも凝らされているからです。 描いたの…... 2023.03.29 文春オンライン
文春オンライン 人間が1人もいない…「死んでいるような静けさ」を連想させる都市は画家の“思い入れが強い場所”だった エゴン・シーレ(1890-1918)というと人物画を思い浮かべる人も多いでしょうが、風景画も絵本の世界のようでとても魅力的です。本作はクルマウ(現在のチェコ共和国、チェスキー・クルムロフ)というモルダ…... 2023.03.08 文春オンライン
文春オンライン 若くして亡くなった愛人の「悲しみ」…自分が捨てた女性の髪を、画家はどうして“黒く”塗ったのか 本作は20世紀初頭のウィーンで活躍した画家エゴン・シーレ(1890―1918)によるものです。「悲しみの女」というタイトルは彼がつけたものではありませんが、この絵の背景を知ると、ぴったりだと思うでしょ…... 2023.02.15 文春オンライン
文春オンライン なんとも可愛い…世界最高峰の写真家が撮った「小さいもふもふの犬」が、ピョーンと飛び跳ねているワケ 可愛い犬がぴょーんと飛び跳ねる瞬間をスナップしたのは、写真家エリオット・アーウィット(1928年~)です。ロシア人の両親のもとにパリで生まれ、イタリアで幼少期を過ごした後に家族でアメリカに移住。若くし…... 2023.01.25 文春オンライン
文春オンライン 線と色がズレている、赤いパンダの絵は社会風刺か? アンディ・ウォーホルが版画に込めた意図は 多色刷りの版画を制作するとき、最も大事なのが、「見当」を合わせること。版がズレないように揃えることを意味します。ところが、本作では線画と色面がズレているようですが、なぜなのでしょう。 作者アンディ・ウ…... 2022.12.28 文春オンライン
文春オンライン 絡み合う男女…嘘をついているのはどっち? 見る人の価値観を炙り出す“不穏な空気”の木版画 白黒の画面に、絡み合う男女。右下にLE MENSONGE(嘘、の意)というタイトルがあるので、単に愛し合う男女を描いたわけではないことが分かります。いえ、仮にタイトルを知らなくても、この場面には何かあ…... 2022.12.07 文春オンライン
文春オンライン 中央に配置された女性には、どことなく崇高な印象が…ロシア人女性画家はなぜ“伝統衣装を着たスペイン女性”を描いたのか ナターリヤ・ゴンチャローワ(1881-1962)は、帝政ロシア末期の前衛絵画界を牽引し、抽象画家マレーヴィチにも影響を与えた画家。 舞踊家セルゲイ・ディアギレフの舞台デザイナーとしても活躍し、拠点をフ…... 2022.11.16 文春オンライン
文春オンライン 「上に向かって進んでいるようにも、その逆にも見える」あなたにはどう見える? ウクライナの作家が描いた“幾何学的抽象画” 長方形と線がちらばった画面。フォルム同士が作り出す効果をそれだけで面白いと思える人はいいのですが、どんな風に受け止めたらいいのだろう、と戸惑ってしまう人もいるでしょう。 この絵を描いたのはカジミール・…... 2022.10.26 文春オンライン
文春オンライン バリケードを築く民兵を政府軍は容赦なく射殺…画家・マネはなぜ「血の一週間」を“さっぱりと冷徹に”描いたのか 本作は、あまり政治的なメッセージを表現しないマネが、珍しく共産主義への共鳴を示したものです。普仏戦争後、臨時政府と労働者による自治政府パリ・コミューンとの間に内戦が起き、最終的には「血の一週間」と呼ば…... 2022.10.05 文春オンライン
文春オンライン クールな風景画に見えるけど…湖面をジグザグに通ったのは、フィンランドの神話の主人公? 本作は一見すると、幾何学的に構成されたクールな印象の風景画。しかし、なんと神話画でもあるのです。一体、どのように神話を表しているのでしょうか。まずは造形的な特徴から見てみましょう。 本作を描いたのはア…... 2022.09.14 文春オンライン
文春オンライン 日の光を遮るように立つ女性の後ろ姿…夕暮れか朝日か? ドイツを代表する画家が生涯手元に残した作品の“2つの解釈” 日の光を遮るように立つ女性の後ろ姿が、シルエットのように浮きあがっています。空は下から上にかけて黄色からオレンジ色のグラデーション。なだらかな丘陵にも暖かい光が投げかけられています。 本作には「夕日の…... 2022.08.18 文春オンライン
文春オンライン 「最後の晩餐」だけ外れた場所にある理由…本物の聖堂では難しい鑑賞方法も楽しめる、“スゴい”原寸大レプリカ ギリシア第二の都市テサロニキにある聖ニコラオス・オルファノス聖堂。外観は素朴な建物ですが、内部は14世紀初頭・後期ビザンティン時代に描かれたフレスコ画で埋め尽くされた鮮やかなもの。世界遺産に登録されて…... 2022.07.27 文春オンライン
文春オンライン いわゆるアートとは異なる存在の「宗教画」 東西文化が同居する聖像画の見方を解説! 東京・上野でビザンティン美術、正確にはポスト・ビザンティン美術の貴重な作品が拝観できます。それはイコン画というもので、「聖像画」と訳され、ギリシア正教会で礼拝に用いられるものです。形式としては、本作も…... 2022.07.06 文春オンライン
文春オンライン 淡い色使いでさっぱりと見えるけど…ウィリアム・ブレイクの“独特のクセ”はどこから? 主張のはっきりした油彩画に囲まれると、本作は淡い色使いと線描でさっぱりとして見えますが、独特のクセがあるのも確か。この絵を描いたウィリアム・ブレイクは時代を先取りしたというか、オリジナリティの強い作風…... 2022.06.15 文春オンライン
文春オンライン 名画の見方を解説! 「古来比類なき甘美な瞳」というタイトルから喚起されるイメージとは? 小さな花々が一面にちりばめられた絵。可憐な小花に自分がどんなイメージを投影するのか、それが問われる絵でもあります。描いたのはイギリスを代表する画家の一人、ジョン・エヴァレット・ミレイ。彼の代表作「オフ…... 2022.05.25 文春オンライン