藤井聡太王将(19)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=が11日、島根県大田市の国民宿舎「さんべ荘」を訪れ、王将奪取の祝賀会に出席した。渡辺明名人(37)=棋王含む2冠=に4連勝した第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第6局が予定されていた会場。地元ファン50人の歓待を受けて笑顔を見せた。 9日の名人戦順位戦の対局に勝利し来期A級昇級を決め、最速で来年4~6月に行われる名人戦で8冠独占の可能性が出てきた藤井。 この日同行した師匠の杉本昌隆八段(53)は8冠達成のメドを「3年以内」と予測した。 「正直(話題になるのも)早いと思いますが、期待は理解できます」。弟子に成り代わって熱気を受け止めつつ「今の内容、充実度からすればそう先ではない。もし達成するなら3年以内。5年以上かかれば確率は下がります」と語った。 タイトルを独占した棋士は過去に1人いる。羽生善治九段(51)が1996年、当時の全7冠独占を第46期王将戦7番勝負でかなえた。藤井は渡辺に王将戦、棋聖戦で計7勝0敗、豊島将之九段(31)には王位戦、叡王戦、竜王戦で計11勝3敗。4強の両者を圧倒した今年度に、杉本が「死角はない」とみるのも当然か。 落とし穴があるとすれば「トーナメント戦。一度も負けが許されない」。残る3冠のうち王座戦、棋王戦は挑戦者決定トーナメントを勝ち上がる必要がある。今年度、王座戦は深浦康市九段(50)、棋王戦は斎藤慎太郎八段(28)の共にタイトル経験者に屈した。 「来年度は叡王戦に棋聖戦、王位戦と防衛戦から始まる。(8冠独占を)話題にしてもらえるよう、まずは勝たないと」 冷静に足元を見つめる藤井に対し、杉本が8冠独占まで「5年以上かかれば確率が下がる」とするのは新星の誕生を想定するからだ。AIの出現により「強い若手が育ちやすい環境」とみる。指し手の善悪が評価値で可視化できるようになった。将棋会館がない名古…
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