放送中のフジテレビ系ドラマ「ミステリと言う勿(なか)れ」(月曜・後9時)のほか、映画、CMに引っ張りだこの女優・伊藤沙莉(さいり、27)が、池松壮亮(31)とのダブル主演映画「ちょっと思い出しただけ」(松居大悟監督)で切ないラブストーリーを演じている。昨年2月、ブルーリボン賞助演女優賞を受賞してから、「役者人生の第2章が始まった」と宣言した伊藤に、役者としての原動力や苦悩、今後の目標を聞いた。(増田 寛) 多忙なスケジュールの中の取材だったが、伊藤は疲れを感じさせないハツラツとした笑顔を輝かせた。 「思い出せる限り、昨年の休暇は確か、9月上旬の1週間ぐらいだけだったかも。休みだと思いきや、CMのお仕事を頂いたり。昨年は舞台もやっていたので、ありがたいことに忙しくさせていただきました」 昨年6~7月に舞台「首切り王子と愚かな女」で全国4都市を回った2日後に撮影に入ったのが、今回の「ちょっと―」だった。「首切り―」はダークなファンタジー作品、「ちょっと―」は純朴な恋愛物語と正反対の作品だが、それが功を奏したという。 「舞台の稽古中に出演のお話が来て、本当に撮れるのかと思った。でも、対照的な役だったので、役を抜く作業があまり必要ではなかった。舞台と並行して映画の打ち合わせもあったので、アイドリングはバッチリ。2日間で台本を(頭に)入れられました」 特徴的なハスキーボイス、日常生活に溶け込んでいるかのような演技力、三枚目の役も軽妙に演じられる振り幅。唯一無二の存在感でブルーリボン賞に輝いた伊藤は受賞者インタビューで「役者人生の第1章が終わった。これからは第2章。マドンナ役に挑戦したい」と宣言していた。 「ちょっと―」では、タクシードライバーとして働く女性の日常と純真な恋心を表現し切った。「今作は恋愛映画のヒロインとして、私には珍しい等身大の女の子。グレてAV女優になるとか、奇想天外…
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